先日、著名な音楽プロデューサー 井上純さんが主宰されているHit Song Research Lab(HSRL)が開発しているAmadeus Code というAIアプリを見せていただいた。
簡単に言えば「ユーザーが好きな感じの音楽をAIが作曲してくれるアプリ」なのだが、設計思想とエンジンにかなり衝撃を受けた。
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Amadeus Code のFacebookより
https://ja-jp.facebook.com/amadeuscode/
AI開発の基本となったコンセプトは、作曲家・ドヴォルザークがアメリカの音楽生に向けて良い曲を作るためにアドバイスした次の言葉です。
「必要とされるのは、繊細な耳、優れた記憶力、前時代の断片を調和ある全体へと溶け合わせる力量である。」
アントニン・ドヴォルザーク (1841-1904)
ドヴォルザークは100年以上前に、何にも影響を受けていない完全なオリジナルのメロディは存在しないことを指摘しており、過去に聞いたことのあるメロディーを自分のものとして昇華することの重要性を学生に伝えました。それは我々のアイデアと100%合致するものでした。
HSRLではこのシンプルなアイデアを手本として、AIの主要な機能を、
(1)記録に残る限りの『前時代の断片』をデータベース化すること
(2)それらを『調和ある全体』へと計算して配置すること
の二つに絞りました。記憶と計算についてはコンピューターが人間に優ることは明白だからです。
そして、出来上がった曲の最終的な判断は『繊細な耳』を持った作曲家に委ねることにしました。
我々はこうして人間とコンピューターが協調することによって、人間の創造性や能力をさらに引き出すことができると考えたのです。
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つまり、Amadeus CodeはAIが過去のヒット曲を学習し、そのパターンをどんどん提示してくれる。さして人間がそれを「判断」する。
まだ少ししか触ってないので、このAmadeus Codeの真価はわかっていないが、UIを見るだけでも、その思想の素晴らしさはよくわかる。
これから先、秒進分歩でAIが発展していくが、この人間が「判断」するというところは、永遠になくなることはないし、もっと言えば、人間の判断が必要でない技術面(Technology)はAIが受け持ち、人間の判断がなければ、感情の揺さぶりが起きない音楽やデザインなどの芸術面(Art)はこの「判断」がベースになって、作られていくのは間違いない。
そしてさらに、これから音楽やデザインの場面のみならず、すべての場面でこの2つが存在することになる。
今、世間ではAIが騒がれていて、AIによって将来半分の仕事がなくなるという人もいるが、シンプルに考えれば、この「Technology and Art」を理解しているかいないかで、人間の存在価値が決まるだけの話だと筆者は思う。
だからこそCODE FRIENDSで子供たちに伝えたいことは、この「Technology and Art 」そのものなのだ。
常々そう考えてはいるものの、具体的なシステムが筆者は思いつかなかったところに、このアプリに出会ったことが、とても衝撃だった。
それにしてもこんなすごいシステムを無料で利用できるのだから、今の子供たちは幸せだ。アプリ版のAmadeus Code は2018年1月末にリリースということで、ぜひ、CODE FRIENDSのフレンズ(生徒)たちにこのアプリを使ってもらい、作った音楽を作品に投入してもらいたいと思う。
CODE FRIENDS 大関